声劇台本 based on 落語 「
【書き起こし人 註】
古典落語をベースにしていますが、あくまでも"声劇台本"として作成しています。
なるべく声劇として演りやすいように、元の落語に様々なアレンジを加えている場合があります。
アドリブ・口調変更・性別転換 等々OKです。
ご利用に際してのお願い等
<登場人物>
<配役>
ここから本編
金坊:お 父親:…… 金坊:ねえ、お 父親:なんだよ。 金坊:肩、 父親:(めんどくさそうに)
金坊:そんな遠慮しないでさぁ~。
父親:いいよ。お 金坊:なんだよ もォ~。
父親:いいよ。 金坊:お茶 父親:いいってんだよ。
金坊:そんな つれないこと言わないでさぁ~。
父親:(ため息)
金坊:……わかったよ、遊びに行くよ。
父親:あん? 金坊:おくれよ。 父親:何を。 金坊:何をって お 父親:当たり前だよ。首なんざ 取られてたまるか。
金坊:もォ~お 父親:なんだよ、じれってぇなあ。
金坊:だからぁ……、
父親:ほ~らきた。どうせそんなこったろうと思ったよ。
金坊:もう使っちゃったんだよぉ。 父親:使っちまったんだろ?
金坊:じゃ明日の分おくれよ。 父親:…… 金坊:明日になったら あさっての分 もらって、
父親: 金坊:……あ、そう。
父親:おっかさんにィ?
金坊:へっへっへ。甘いのは お 父親:おいちょっと待て。 金坊:(無視して)
父親:ちょっと待てよ。 金坊:(無視して)
父親:ちょっと待てってんだよ。 金坊:なに? 父親: 金坊:えー、だってさっき お 父親:いいから。
金坊:(座る)はい。 父親: ―― お 金坊:いやその……、なんでもない、なんでもないの。気にしないで。
父親:オイ 何だよ。
金坊:いやいや、お 父親:待て待て待て待て。
金坊:(ため息)
父親:ふうん。誰が? 金坊:誰がって……。
父親:あん?
金坊:聞きたいの?
父親:はぁ?何言ってんだ。ダメだよ。 金坊:ダメ?
父親:何 ワケの分からねえこと言ってんだ。
金坊:いいの?
父親:…… 金坊:なにこれ。 父親:何って、 金坊:これ、1 父親:なんだよ。子供なんざ、1 金坊:ダメダメダメダメ。
父親:5 金坊:あ、そう。
父親:な……!
金坊:くれるの? 父親:やるよ。
金坊:いや~ダメダメ それはダメ。
父親:どこで覚えてくるんだ そんな言葉。
金坊:いや、だってさ、オイラが話をしてさ、
父親:誰がお客様だよ。
金坊:わぁ~!ありがと お 父親:横浜?
金坊:あの日ね、お 父親:なにィ……!?
金坊:どんな野郎って、これがまた オシャレ気取りな野郎でさぁ。
父親:ああ、いけすかねえ野郎だなぁ。 金坊:でしょ~?
父親:わかってるよ、うるせぇなぁ。 金坊:で、おっかさんたらね、そのおじさんの手をギュ~って握って、
父親:おっかあが……!?
金坊:それで……。
父親:そりゃ聞きてえよ。 金坊:じゃ、5 父親:いや さっきやったじゃねえかよ! 金坊:さっきのはここまでの分なんだよ。
父親:何が別料金だよ。
金坊:そういうわけには まいりません。
父親:だから誰がお客様だよ。
金坊:あ、そう……。
父親:ああもう!わかったよ!
金坊:わぁ♪毎度ありがとうございまぁす。 父親:早く続き 金坊:で、おっかさんが そのおじさんをウチに上げて、
父親:おいおい!オマエ何やってんだよ!
金坊:まぁまぁ落ち着いてよお 父親:エライ!それでこそ お 金坊:そしたらね、出かける時は 父親: 金坊:うん。
父親: 金坊:5 父親:またかよ!また5 金坊:申し訳ございませんお客様、5 父親:オマエはどこの店員なんだよ。
金坊:あ、そう……。
父親:わかったよ!払うよ!
金坊:わぁ♪毎度ありがとうございまぁす♪ 父親:うるせえよ!
金坊:で、オイラその 父親: 金坊:(首を横に振って)
父親:昼間っから 金坊:でね、何するんだろうって見てたらね、
父親:自分から!?誘いこむように!?
金坊:そしたら そのおじさんがね、上から、こう、おっかさんに、
父親:おおいかぶっ……!?
金坊:それで…………。
父親:おまっ……!いいとこで……!
金坊:ありがと。
父親:なんだよ、そいつ何しやがったんだよ! 金坊:やだなぁ…………、でも……、うん、 父親:なんだとォ……!? 金坊:そしたらおっかさん、
父親:あんにゃろぉ……! 金坊:そいでね、そのおじさんの顔よく見たらさ、
父親:オマエの知ってる奴!?誰だ! 金坊:誰って……、お 父親:俺も知ってる……?
金坊:言う、言うよ。
父親:じゅ……!た、高いよ!
金坊:高くないよぉ。
父親:そのくだらねえ話に もう20 金坊:あ、そう……。
父親:わかったわかった!わかったよ!
金坊:毎度ありがとうございまぁす♪ 父親:もういいよそれは!
金坊:あのね……
父親:なッ…!!
母親:ただいま。 父親:あ!おっかぁ!
母親:やだね この人は。
父親:おめえが早く帰って来ねえから、
母親:あらやだ!泥棒かい!? 父親:違うよ。 母親: 父親:俺の ふところだよ。 母親:やだねぇ……。
父親:そうじゃねえよ。
母親:じゃあお前さんが あげたんじゃないか。
父親:いや、だから違うんだよ。
母親:どういうこと? 父親:一杯喰わされたんだよ。
母親:ああ、そうだったわねぇ。
父親:その話をよ、 母親:そうなの? 父親:そうなんだよ。
母親:やだねぇ この人は。
父親:それがそうじゃねえんだよ。
母親:うまいことやるもんだねえ。
父親:冗談言っちゃ いけねえよ。
母親:そんなことはないだろ。
父親:いや そうじゃねえんだ。
母親:知恵の使いどころ? 父親:そう。
母親:そういうもんかい? 父親:そういうもんだよ。
母親:何聴いてきたんだい? 父親:『 母親:そうかしらねえ?
父親:サナダムシにだって なりゃしねえよ。
金坊:エヘヘ……。
父親:失礼すぎるんだよ。
金坊:いやぁそれが もぉ…………使っちゃったんだよぉ。 父親:使ったァ?
金坊: 父親:……。
金坊:『 父親:ほぉ……。言ったな?
金坊:うん。いいよ。
父親:うるせえんだよ。
金坊:で、その 父親:(ムスッとして)
金坊:あの、お 父親:なんだよ? 金坊:あのさ、「ふたつかりがね」っていうのは、どういうの? 父親: 金坊:なるほどぉ。
父親: 金坊:ふぅん。 父親:6つの 金坊:3つ3つで……?どういうこと? 父親:だから……、こう、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃ、って つながってるんだよ。 金坊:えっと、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃ? 父親:いやそうじゃなくて、横に、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃだよ。 金坊:え……?横に、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃ……? 父親:いやそれじゃ縦だろ?
金坊:ん~、オイラよくわかんないよ……。 父親:なんでわかんねえんだよ。
金坊:あーなるほど!こういうことかぁ!
父親:おう、やってみろ。
金坊:うん。
父親:ああ、そうだよ。 金坊:ありがとお 父親:あっ!コラ!
金坊:ちがうよー♪ 焼きイモ買って食べるんだーい♪
父親:焼きイモ……?
・上演を公開される際は、観覧無料の媒体のみで行うようお願いします。
観覧自体が無料であればかまいません。いわゆる「投げ銭システム」に代表されるような、リスナーから
配信者へ 金銭または換金可能なアイテムやポイントを贈与できるシステムの有無は問いません。
ただし、ことさらリスナーに金銭やアイテム等の贈与を求めるような行為は おやめください。
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録画の公開期間も問いません。
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・台本利用に際して、当方への報告等は必要ありません。
・父親(セリフ数:102)
?歳。
金坊(きんぼう)の父親。
・
?歳。
こざかしい子供。大人顔負けの知恵と話術で父から小遣いをだまし取る。
・母親(セリフ数:14)
?歳。
金坊の母親。
・父親:♂
・金坊/母親:♀
【ちょっと難しい言葉】※クリックすると開いたり閉じたりします(ブラウザによっては機能しません)
桑名は三重県の地名。焼きはまぐりは桑名の名物。それらを「その手は食わない」に掛けた洒落言葉。
軍記、武勇伝などを、張り扇(はりおうぎ/はりせん)で釈台(しゃくだい)を打って語る話芸。講談。
真田昌幸・真田幸村・真田大助の真田家3代の興亡を主題とした講釈。
日本の元号の一つ。 元亀の後、文禄の前。
1546年~1582年。日本の戦国大名。甲斐国を中心に関東甲信越地方に広大な勢力圏を保持した。
山梨県甲州市にある山。標高1380メートル。
真田昌幸(1547~1611)のこと。真田幸村の父。
大道寺政繁(だいどうじ まさしげ 1533~1590)のこと。北条氏の家臣。
松田憲秀(まつだ のりひで 生年不詳~1590)のこと。北条氏の家臣。
中国の永楽帝の時代に鋳造された銅貨。室町時代に輸入され、江戸初期にかけて標準的貨幣として流通した。
「流れ」は旗を数える単位のひとつ。「六流れ」は「旗が6つ」ということ。
夜、不意に敵を攻撃すること。夜襲。
↓こんなの。
↓こんなの。「むつれんせん」「ろくれんせん」とも。真田家の家紋。
計略。
あけた雨戸を収める所。
日頃から お仕事がんばって、疲れてるでしょ?
あ、じゃあ、腰さすってあげよっか?
うるせぇなぁもう。
あのなぁ
せっかくオイラがこうやって
そうやって
ねぇ お
あのなあ、
日頃は こっちの言うこと なんにも聞かねえくせしやがって。
そうやって 急に
どうせ何か
こっちは お見通しなんだよ。
な?わかったら 早く
遊びに行くからさぁ お
(もの欲しげに てのひらを差し出して)
おくれよ。
まさか首じゃないよ?
何なんだよ。
わかってるクセに、ヤだなぁ~。
ハッキリ言えよ、何なんだよ?
お・こ・づ・か・い。
ダメダメ。
じゃあもうダメだよ。
今日のぶん 使っちまったんなら それで終わりだよ。
明日のぶん 今日 もらって、じゃあ明日はどうすんだよ?困るだろうが。
あさってになったら しあさっての分 もらって、
しあさってになったら その次の分 もらって――
そうやって 順に順に 前倒しで もらってくの。
そうやってるうちに、お
分かんなくなっちゃうって
まったく、親を馬鹿にしやがって……。
いくら言ってもダメなものはダメなんだよ!
どうしても くれないの?
フン!じゃいいよ。いいよーだ!
もうお
おっかさんに もらうから いいよーだ!
甘いんだよオマエは。
いいか、おっかさんの持ってる金はな、お
普段から おっかさんには 「
おっかさんも くれやしねえよ。残念だったな。
あのね、オイラがおっかさんに
「おこづかい おくれよぉ」って言うでしょ?
そしたら おっかさんが
「ダメよ。お
って言うの。
そこでオイラが
「あっそ。おこづかい くれないの。
それじゃあ、こないだ お
って言うと、
おっかさん 急に うろたえ出して、
「ちょいとお待ち!ちょいとお待ちよ!今あげるから!
それだけは しゃべっちゃ いけないよ!」
なーんて言って、必ず おこづかい くれるんだよね。
親をゆするなんてイヤだけど……、
背に腹は
じゃオイラ
まあ、ちょっと、こっちに来い。
まあ、ここに座れ。
(ボソっと。でも父親に聞こえるように)
はぁ、マズいこと言っちゃったなぁ……。
誰か
あのな、お
あ~弱ったなぁ。
マズいこと言っちゃったなぁ。
やっぱオイラ
誰か
な?いいから言ってみろ。
じゃ言うけどさ。
ねえ お
そりゃまぁ、聞きたいよ。
じゃあさ……、おこづかい おくれよ。
あ、そう。
じゃオイラも
オイラだって、ホントはこんな話……したくないんだ……。
こんな話をするのは、子供として、とっても
じゃもういいよ、聞かねえよ。
ああよかった。そのほうがいいよ、うん。
平和な家庭に
(実はすごく聞きたい)
……。
わかったよ!
今やるから ちょっと待て。
ったく……。
(小銭を渡して)
ほら、これ やるから、
たった1
いや~、この話、1
1
この話は、値打ちのある話なんだ。
……5
冗談じゃねえよ!
そんなに やれるわけねえだろ!
じゃいいよ。この話はおしまい。
わ、わかったよ。
5
だから、まず話をしろ。
そしたら5
な?まず話を聞かせろ。
その手は
なにがダメなんだよ。
で「おこづかいおくれ」って言って、
そこでお
「じゃあ今の話 返して」ってワケにいかないでしょ?ね?
お先に5
わかったよ……。
(5銭を渡して)
ほら、5
あのね、こないだお
お仕事で横浜へ出かけた日、あったでしょ?
ああ、あったあった。
どっかのおじさんが ウチに来たんだよ。
でね、オイラが玄関出てみたら、そのおじさん、
「お母さんはいらっしゃいますか?」って言うの。
で、おっかさんに そのこと伝えたら、おっかさん玄関に出てって、
そのおじさんの顔見るなり、うれしそォ~に
「あら いらっしゃい♥よく来てくれたわね♥」
なんて言うんだよ!
その男、どんな野郎だよ?
真っ白な上着なんか
キザったらしいでしょ?
それだけじゃないよ?
カッコつけて 色付きの眼鏡なんか かけてさ、
おまけにステッキまで持ってんの。
気取ってるでしょ?
でもおっかさん、そいつ見て喜んじゃってさ、
「いいところに来てくれたわ♥
ちょうどウチのヘチマ野郎が出かけたとこなのよ♥」
だって。
あ、ここで言う「ヘチマ野郎」ってのは、
どうも お
「さ、こっち上がっとくれよ♥」なんて言って、
そのおじさんをウチに ひっぱり上げちゃったんだよ!
で……、どうなったんだ?
ここから先、聞きたい?
ここからは別料金となっておりますので。
そんなこと言わねえでスッと
お話の続きをご希望でしたら、
5
冗談じゃねえよ。
追加で5
じゃあ、ここでやめとこう。
うん、ここでやめといたほうが、お
この先を聞いちゃったら…………もう……!
やりゃいいんだろ!
(5銭を渡して)
ほら、5
そしたらおっかさん、オイラに、
「おっかさんね、これから この人と用事があって かまってあげられないから、
オマエは
オイラが「やだ」って言ったら、
「そんなこと言わないで遊びに行っとくれ。ほら、おこづかいやるから」
って言って、3
だからオイラうれしくって、
何まんまと遊びに行っちゃってんだよ!
そういう時は、意地でも おっかさんのそばに くっついてなきゃダメだろ!
ていうか俺は何のために追加で5
5
大丈夫だよ。オイラはお
いったん
やっぱり気になってしょうがないから、
こっそりウチに戻って来たんだよ。
戻って来たら ピターッと閉まってるんだよ。
オイラね、その閉めきられた
一体何が行われてるのか 気になって、
足音たてないようにソーっと近づいていって、
その
お
んなこと言わねえでスっと
この
いい加減にしろよ。
たかが
5
じゃ、この
うん、そのほうがお
この封印は、解くべきじゃないんだ……。
この
お
払うから封印を解いてくれよ!
(5銭を渡して)
ほら5
いいから早く
そしたら――、
お
ううん。
寝る、おふとん。
それで!?
おっかさんが、「それじゃあ……♥」とか言って、
自分から、誘い込むように、
お
そ、それから!?
おおいかぶさるような格好になったんだよ…!
そ……、それから!?
ここで5
(5銭を渡して)
ほら!
それでね……、そのおじさん、こう………………、
ああ、やだなぁ、こんなこと言わなきゃならないなんて……!
そのおじさん、おっかさんの体を、
そこらじゅう……、こう……、触るんだよ……!
あっちを
「あン♥そこそこ♥」とか
「んン~♥もっとォ♥」とか
「気持ちいいよ♥
おまえさん、とっても上手だよ♥」とか
「右だけじゃなくて、
左のほうも
なんて言うんだよ。
……オイラ、いたたまれなかったなぁ……。
オイラの知ってる人だったんだよ!
誰だ!え?言ってみろ!
だから…………、
10
オマエそれは高いよ!
ついに男の正体が分かるんだよ?ものすごい情報だよ?
ここまでの くだらない話とはワケが違うんだよ。
このうえ10
じゃ、この男の正体は、永遠にオイラの胸の内にしまっておこう……。
うん……、そのほうがお
オイラだって、血を見るのはイヤだしね……。
こいつの正体をお
10
(10銭を渡して)
ほら、持ってけ!
早く教えろ!
横丁の
じゃあねー♪(去る)
おい待てー!
(ため息)
やられちゃったよ…………。
どこ行ってたんだよ!
今日は お
どうしたの?
むずかしい顔して。
馬鹿だねお前さん。
だから いつも言ってるでしょ?
お金を そこらに置きっぱなしに してちゃ いけないって。
どこから持ってったんだい?
まさかウチの中で、しかも自分の子どもに お金スられるほど
ボーっとしてるとは思わなかったねえ……。
手渡しだよ。
何が
やりたくてやったんじゃねえよ。
だまし取られたんだよ。
ほら、こないだ俺が横浜 行った時によ、
おめえ、
いつもの先生に 来てもらったの。
もうこっちが 気になるように気になるように 話を持っていくんだよ。
いやもう、どう聞いたって、おめえが
いかがわしい事やってるようにしか聞こえねえんだよ。
またそれを 上手い具合に そこらじゅうで ぶった切ってよ、
そのつど5
それで たんまり取られちゃったんだよ。
どうしてお前さん そんなのに引っかかるのさ。
わかりそうなもんじゃないか、
あの野郎の
「オシャレ気取りで真っ白な上着
なんて言いやがって。
よく考えたら白衣のことなんだよ。
「カッコつけて色付きの眼鏡なんか かけて」。
あの人、別にカッコつけてるわけじゃねえんだ。
ちょっと目が不自由だから、日頃から色付き眼鏡かけてるだけじゃねえか。
「おまけにステッキまで持ってんの。気取ってるでしょ?」だってよ。
ただの杖じゃねえか!
こういうところがあの野郎うまいんだよ……。
おかげでまんまと一杯喰わされちゃったよ。
あの子はホントに知恵が働くからねえ。
知恵じゃあ、あたしもお前さんも、
もうあの子に
でもいいじゃないか。
あれだけ知恵があるんだから、
ゆくゆくは立派な人になるよ。
立派な人になんて ならねえよ。
あいつの知恵ってのはな、あったところで
悪い方には働いて、いい方には働かねえんだ。
良くたって悪くたって、知恵は あったほうがいいじゃないか。
知恵の使いどころってのがあるんだよ。
おめえは
立派な人ってのは、知恵の使いどころが違うんだよ。
ホラ、オレ
よく
そういう話を聴いてるとな、
小せえ
ウチの
こないだ聴いたやつだってそうだ。
で、
さぁこれでは 行くことも
この
で、その
「父上、これしきのこと、心配ご
わたくしに、
そいつを6つ持たせてくれって言うんだな。
きっと何か考えがあるんだろうと思って 用意してやると、
「
「さては
その
どうだい、知恵が働くだろォ?
この人はな、
「
この日 助かったことを いつまでも忘れねえように ということで、
やっぱり
まぁそんな
敵の
どうだ?
味方一同を助ける知恵と、
親から
大変な違いじゃねえか。
ウチの子だって、大きくなりゃあ
本当に
(女房のむこうに何かが見える)
ん……?
(どうやら金坊の耳らしい)
(女房に)
オイ、ちょっと後ろ見てみな。
その
妙なもんが ピョコンと見えてんだろ?
あれはあいつの耳だよ。
親の話、盗み聞きしてやがる。
(金坊に)
オイ
こっち入って来い!
ど~も♪
先ほどは失礼♪
おめえなぁ、さっきのは良くねえぞ。
あの
さ、返せ。
何言ってんだ。
そう言えば許すと思ってんのか?
おめえみたいな子供があれだけの
いちどきに使えるわけねえじゃねえか。
使ったって言うなら、何に使ったか言ってみろよ。
こういう奴だよ。
親の好きなもんに合わせときゃあ 機嫌が良くなると思ってやがる。
よぉし、お
本当に聴いて来たかどうか、お
何 聴いてきたんだ?言ってみろ。
よぉし、本当に聴いて来たってんなら、
どんな話だったか、今ここで言ってみろよ。
あのね、
で、
で、その
敵の、
で、行くことも
いよいよ
そしたら、そのときにね、
「
この
この子がと~っても利口なんだってさ。
世の中にはよくあるんだよね、せがれがう~んと利口で、
親がボーっとしてるってことが。
余計なこと言わなくていいんだよ。
「父上、これしきのこと、心配 ご
わたくしに、
って言ったの。
それを6つ持たせてくれって言ったの。
何か考えがあるんだろう と思って 持たせてやるとね、
で、
「さては
で、その
で、この子が大きくなって、
「
えらいもんだよねぇ。
で、
「ふたつかりがね」だったんだってね。
それが、この日 助かったことを いつまでも忘れないように、
でも、それだけ
敵の
―― ここまでで、なにか違ってるところはございますかぁ?
……あってるよ。
そこで聞いててすっかり覚えちまいやがった。
やなガキだよ。
俺は
じゃあ、「りくれんせん」ってのは、どういうの?
どういうふうに つながってるの?
そうじゃなくて、横に、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃだよ。
ちょっと待ってろ。
(実際に銭を持ってくる)
ほら、いいか?これ、1
これは今の
これが、こう、6枚あんだろ?
ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃって並んでるんだよ。
わかったか?
こうやって並べてみるとよくわかるね!
ねえねえお
自分で目の前に並べてみりゃあ よく分かるだろ。
えーっと、こうやって、ひぃ、ふぅ、みぃ、ひぃ、ふぅ、みぃ……と。
こうだね?お
じゃ、この6枚、もらって行くねー♪(銭を手に取り駆け出す)
オマエ、また
じゃあねー♪(去る)
(ため息)ハァ……
ウチの
※焼き芋といえばサツマイモ。
「ウチの真田」とは、若き日の真田幸村ばりの知恵(悪知恵だけど)を持つ金坊のこと。
「サツマイモを買いに行った」ことを「薩摩へ落ちた」と表現し、
薩摩へ落ちのびたという真田幸村の逸話と掛けてオチとしたもの。
おわり
参考にした落語口演の演者さん(敬称略)
古今亭志ん朝(3代目)
柳亭小痴楽(3代目)
柳家小さん(5代目)
立川談志
何かありましたら下記まで。
kurobekio@yahoo.co.jp