声劇台本 based on 落語

真田小僧さなだこぞう


 原 作:古典落語『真田小僧』
 台本化:くらしあんしん


  上演時間:約30分


【書き起こし人 註】

古典落語をベースにしていますが、あくまでも"声劇台本"として作成しています。
なるべく声劇として演りやすいように、元の落語に様々なアレンジを加えている場合があります。

アドリブ・口調変更・性別転換 等々OKです。



ご利用に際してのお願い等

・上演を公開される際は、観覧無料の媒体のみで行うようお願いします。
 観覧自体が無料であればかまいません。いわゆる「投げ銭システム」に代表されるような、リスナーから
 配信者へ 金銭または換金可能なアイテムやポイントを贈与できるシステムの有無は問いません。
 ただし、ことさらリスナーに金銭やアイテム等の贈与を求めるような行為は おやめください。


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 録画の公開期間も問いません。

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・台本利用に際して、当方への報告等は必要ありません。



<登場人物>

・父親(セリフ数:102)
 ?歳。
 金坊(きんぼう)の父親。



金坊きんぼう(セリフ数:88)
 ?歳。
 こざかしい子供。大人顔負けの知恵と話術で父から小遣いをだまし取る。



母親(セリフ数:14)
 ?歳。
 金坊の母親。





<配役>

・父親:♂

金坊母親:♀




【ちょっと難しい言葉】※クリックすると開いたり閉じたりします(ブラウザによっては機能しません)
  • その手は桑名の焼きはまぐり(そのては くわなの やきはまぐり)
    桑名は三重県の地名。焼きはまぐりは桑名の名物。それらを「その手は食わない」に掛けた洒落言葉。

  • 講釈(こうしゃく)
    軍記、武勇伝などを、張り扇(はりおうぎ/はりせん)で釈台(しゃくだい)を打って語る話芸。講談。

  • 真田三代記(さなだ さんだいき)
    真田昌幸・真田幸村・真田大助の真田家3代の興亡を主題とした講釈。

  • 天正(てんしょう)
    日本の元号の一つ。 元亀の後、文禄の前。

  • 武田勝頼(たけだ かつより)
    1546年~1582年。日本の戦国大名。甲斐国を中心に関東甲信越地方に広大な勢力圏を保持した。

  • 天目山(てんもくざん)
    山梨県甲州市にある山。標高1380メートル。

  • 真田安房守(さなだ あわのかみ)
    真田昌幸(1547~1611)のこと。真田幸村の父。

  • 大道寺駿河守(だいどうじ するがのかみ)
    大道寺政繁(だいどうじ まさしげ 1533~1590)のこと。北条氏の家臣。

  • 松田尾張守(まつだ おわりのかみ)
    松田憲秀(まつだ のりひで 生年不詳~1590)のこと。北条氏の家臣。

  • 永楽通宝(えいらくつうほう)
    中国の永楽帝の時代に鋳造された銅貨。室町時代に輸入され、江戸初期にかけて標準的貨幣として流通した。

  • 六流れ(むながれ)
    「流れ」は旗を数える単位のひとつ。「六流れ」は「旗が6つ」ということ。

  • 夜討ち(ようち)
    夜、不意に敵を攻撃すること。夜襲。

  • 二つ雁金(ふたつかりがね)
    ↓こんなの。

  • 六連銭(りくれんせん)
    ↓こんなの。「むつれんせん」「ろくれんせん」とも。真田家の家紋。

  • はかりごと
    計略。

  • 戸袋(とぶくろ)
    あけた雨戸を収める所。




ここから本編




 金坊:おっつぁん♪

 父親:……

 金坊:ねえ、おっつぁん♪

 父親:なんだよ。

 金坊:肩、たたいてあげよっか?

 父親:(めんどくさそうに)
    たたいてくれなくて いいよ。

 金坊:そんな遠慮しないでさぁ~。
    日頃から お仕事がんばって、疲れてるでしょ?

 父親:いいよ。おっつぁん疲れてねぇし、肩もってねえから。

 金坊:なんだよ もォ~。
    
    あ、じゃあ、腰さすってあげよっか?

 父親:いいよ。

 金坊:お茶 れてあげよっか?

 父親:いいってんだよ。
    うるせぇなぁもう。
   
    あのなぁ金坊きんぼう、おっつぁん、たまの休みで のんびりしてえんだ。
    
    おもてへ行って遊んで来い。

 金坊:そんな つれないこと言わないでさぁ~。
   
    せっかくオイラがこうやって親孝行おやこうこうしようとしてんのに、
    そうやってけちゃ ヤだよぉ。
   
    ねぇ おっつぁん、親孝行おやこうこうさせておくれよぉ~。

 父親:(ため息)
    あのなあ、親孝行おやこうこうするんなら、普段からしろよ。
    日頃は こっちの言うこと なんにも聞かねえくせしやがって。
    
    そうやって 急に親孝行おやこうこうしたいなんて言い出すからには、
    どうせ何か下心したごころがあるに決まってんだ。
    こっちは お見通しなんだよ。
    
    な?わかったら 早くおもてへ遊びに行って来い。

 金坊:……わかったよ、遊びに行くよ。
    遊びに行くからさぁ おっつぁん、
    
    (もの欲しげに てのひらを差し出して)
    おくれよ。

 父親:あん?

 金坊:おくれよ。

 父親:何を。

 金坊:何をって おっつぁん、子どもが親に「くれ」って言ってんだよ?
    まさか首じゃないよ?

 父親:当たり前だよ。首なんざ 取られてたまるか。
    何なんだよ。

 金坊:もォ~おっつぁ~ん。
    わかってるクセに、ヤだなぁ~。

 父親:なんだよ、じれってぇなあ。
    ハッキリ言えよ、何なんだよ?

 金坊:だからぁ……、
    
    お・こ・づ・か・い。

 父親:ほ~らきた。どうせそんなこったろうと思ったよ。
    
    ダメダメ。づかいなら 今朝けさやったろ?

 金坊:もう使っちゃったんだよぉ。

 父親:使っちまったんだろ?
    じゃあもうダメだよ。
    
    づかいは 毎日毎日きちんとやってんだ。
    今日のぶん 使っちまったんなら それで終わりだよ。

 金坊:じゃ明日の分おくれよ。

 父親:……づかいの前借りなんぞ せがんできやがる。
   
    明日のぶん 今日 もらって、じゃあ明日はどうすんだよ?困るだろうが。

 金坊:明日になったら あさっての分 もらって、
    あさってになったら しあさっての分 もらって、
    しあさってになったら その次の分 もらって――
    そうやって 順に順に 前倒しで もらってくの。
   
    そうやってるうちに、おっつぁんボーっとしてるから
    分かんなくなっちゃうって寸法すんぽう

 父親:寸法すんぽう♪ じゃねえよ。
    まったく、親を馬鹿にしやがって……。
    
    いくら言ってもダメなものはダメなんだよ!

 金坊:……あ、そう。
    
    どうしても くれないの?
    
    フン!じゃいいよ。いいよーだ!
    もうおっつぁんになんか頼まないよ!
    おっかさんに もらうから いいよーだ!

 父親:おっかさんにィ?
    
    甘いんだよオマエは。
    
    いいか、おっかさんの持ってる金はな、おっつぁんがはたらいてかせいで、
    あずかってろって言って 渡してある金なんだよ。
    
    普段から おっかさんには 「金坊きんぼうにやっちゃいけねえぞ」って言ってあるんだ。
    おっかさんも くれやしねえよ。残念だったな。

 金坊:へっへっへ。甘いのは おっつぁんのほうだよ。
   
    あのね、オイラがおっかさんに
    「おこづかい おくれよぉ」って言うでしょ?
    そしたら おっかさんが
    「ダメよ。おっつぁんから『やっちゃいけない』って言われてるから、あげませんよ」
    って言うの。
    
    そこでオイラが
    「あっそ。おこづかい くれないの。
     それじゃあ、こないだ おっつぁんの留守るす
     他所よそのおじさんがたずねて来たこと、しゃべっちゃおうかなぁ」
    って言うと、
    おっかさん 急に うろたえ出して、
    「ちょいとお待ち!ちょいとお待ちよ!今あげるから!
     それだけは しゃべっちゃ いけないよ!」
    なーんて言って、必ず おこづかい くれるんだよね。

 父親:おいちょっと待て。

 金坊(無視して)
    親をゆするなんてイヤだけど……、
    背に腹はえられないもんねぇ……。

 父親:ちょっと待てよ。

 金坊(無視して)
    じゃオイラおもてへ遊びに ――

 父親:ちょっと待てってんだよ。

 金坊:なに?

 父親:おもては危ない。ウチにいなさい。

 金坊:えー、だってさっき おっつぁん、おもてへ遊びに行けって…

 父親:いいから。
    
    まあ、ちょっと、こっちに来い。
    
    まあ、ここに座れ。

 金坊(座る)はい。

 父親: ―― っつぁんの留守るすに、誰かたずねて来たって?

 金坊:いやその……、なんでもない、なんでもないの。気にしないで。
    
    (ボソっと。でも父親に聞こえるように)
    はぁ、マズいこと言っちゃったなぁ……。

 父親:オイ 何だよ。
    誰かたずねて来たのか?
    
    あのな、おっつぁんに ご用のある人だと いけないから聞いてんだ。

 金坊:いやいや、おっつぁんに用のある人じゃないんだ。
    
    あ~弱ったなぁ。
    マズいこと言っちゃったなぁ。
    
    
    やっぱオイラおもてへ遊びに ――

 父親:待て待て待て待て。
    
    誰かたずねて来たんだろ?
    な?いいから言ってみろ。

 金坊(ため息)
    じゃ言うけどさ。
    
    たずねて来たことは、たずねて来た。

 父親:ふうん。誰が?

 金坊:誰がって……。
    
    ねえ おっつぁん、この話、聞きたい?

 父親:あん?
    
    そりゃまぁ、聞きたいよ。

 金坊:聞きたいの?
    
    じゃあさ……、おこづかい おくれよ。

 父親:はぁ?何言ってんだ。ダメだよ。

 金坊:ダメ?
    
    あ、そう。
    じゃオイラもはなししないよ。
    
    オイラだって、ホントはこんな話……したくないんだ……。
    こんな話をするのは、子供として、とってもつらいんだ……。 
   
    つらいことをしゃべるんだから……、おこづかい くれなきゃダメだよ。

 父親:何 ワケの分からねえこと言ってんだ。
    
    じゃもういいよ、聞かねえよ。

 金坊:いいの?
    
    ああよかった。そのほうがいいよ、うん。
    
    平和な家庭に波風なみかぜ 立てたくないしね……。

 父親:……意味いみしんなこと言いやがって……。
    
    (実はすごく聞きたい)
    ……。
    
    わかったよ!
    
    づかいやりゃあいいんだろ!
    
    今やるから ちょっと待て。
   
    ったく……。
    
    (小銭を渡して)
    ほら、これ やるから、はなしてみろ。

 金坊:なにこれ。

 父親:何って、づかいだよ。

 金坊:これ、1せんじゃん。
    たった1せん!?
    
    いや~、この話、1せんじゃダメだよ。

 父親:なんだよ。子供なんざ、1せん持ってりゃ十分じゅうぶんだろうが。

 金坊:ダメダメダメダメ。
    1せんっぽっちじゃあ、とてもじゃないけど聞かせらんないよォ。
    
    この話は、値打ちのある話なんだ。 
   
    ……5せんおくれよ。

 父親:5せん!?
    
    冗談じゃねえよ!
    そんなに やれるわけねえだろ!

 金坊:あ、そう。
    
    じゃいいよ。この話はおしまい。

 父親:な……!
    
    
    わ、わかったよ。
    
    5せんやるよ。

 金坊:くれるの?

 父親:やるよ。
    
    だから、まず話をしろ。
    そしたら5せんくれてやる。
    な?まず話を聞かせろ。

 金坊:いや~ダメダメ それはダメ。
    その手はくわの焼きハマグリだよ。

 父親:どこで覚えてくるんだ そんな言葉。
    
    なにがダメなんだよ。

 金坊:いや、だってさ、オイラが話をしてさ、
    で「おこづかいおくれ」って言って、
    そこでおっつぁんに ダメだって言われちゃったら、
    「じゃあ今の話 返して」ってワケにいかないでしょ?ね?
   
    当店とうてん先払さきばらせいとなっておりますので、
    お先に5せんのお支払いをお願いいたします お客様~。

 父親:誰がお客様だよ。
    
    わかったよ……。  
    (5銭を渡して)
    ほら、5せんやるから、はなしてみろ。

 金坊:わぁ~!ありがと おっつぁん!
    
    あのね、こないだおっつぁん、
    お仕事で横浜へ出かけた日、あったでしょ?

 父親:横浜?
    
    ああ、あったあった。

 金坊:あの日ね、おっつぁんが出かけて すぐにね、
    どっかのおじさんが ウチに来たんだよ。
    
    でね、オイラが玄関出てみたら、そのおじさん、
    「お母さんはいらっしゃいますか?」って言うの。
    
    で、おっかさんに そのこと伝えたら、おっかさん玄関に出てって、
    そのおじさんの顔見るなり、うれしそォ~に
    
    「あら いらっしゃい♥よく来てくれたわね♥」
    
    なんて言うんだよ!

 父親:なにィ……!?
    
    その男、どんな野郎だよ?

 金坊:どんな野郎って、これがまた オシャレ気取りな野郎でさぁ。
   
    真っ白な上着なんか羽織はおってんの。
    キザったらしいでしょ?
    
    それだけじゃないよ?
    
    カッコつけて 色付きの眼鏡なんか かけてさ、
    おまけにステッキまで持ってんの。
   
    気取ってるでしょ?

 父親:ああ、いけすかねえ野郎だなぁ。

 金坊:でしょ~?
    
    でもおっかさん、そいつ見て喜んじゃってさ、
   
    「いいところに来てくれたわ♥
     ちょうどウチのヘチマ野郎が出かけたとこなのよ♥」
    
    だって。
   
    あ、ここで言う「ヘチマ野郎」ってのは、
    どうも おっつぁんのことらしいよ。

 父親:わかってるよ、うるせぇなぁ。

 金坊:で、おっかさんたらね、そのおじさんの手をギュ~って握って、
   
    「さ、こっち上がっとくれよ♥」なんて言って、
    そのおじさんをウチに ひっぱり上げちゃったんだよ!

 父親:おっかあが……!?
   
    で……、どうなったんだ?

 金坊:それで……。
    
    
    ここから先、聞きたい?

 父親:そりゃ聞きてえよ。

 金坊:じゃ、5せんちょうだい。

 父親:いや さっきやったじゃねえかよ!

 金坊:さっきのはここまでの分なんだよ。
    ここからは別料金となっておりますので。

 父親:何が別料金だよ。
    そんなこと言わねえでスッとはなせよ。

 金坊:そういうわけには まいりません。
    
    お話の続きをご希望でしたら、
    5せんのお支払いをお願いいたします お客様~。

 父親:だから誰がお客様だよ。
    
    冗談じゃねえよ。
    追加で5せんなんざ払えるか!

 金坊:あ、そう……。
    じゃあ、ここでやめとこう。
   
    うん、ここでやめといたほうが、おっつぁんのためだと思う……。 
   
    この先を聞いちゃったら…………もう……!

 父親:ああもう!わかったよ!
    やりゃいいんだろ!
   
    (5銭を渡して)
    ほら、5せん

 金坊:わぁ♪毎度ありがとうございまぁす。

 父親:早く続き はなせよ!

 金坊:で、おっかさんが そのおじさんをウチに上げて、
    そしたらおっかさん、オイラに、
    「おっかさんね、これから この人と用事があって かまってあげられないから、
     オマエはおもてへ行って遊んどいで」って言うんだよ。 
   
    オイラが「やだ」って言ったら、
   
    「そんなこと言わないで遊びに行っとくれ。ほら、おこづかいやるから」
    って言って、3せんもくれたんだよ。
   
    だからオイラうれしくって、おもてへ遊びに行っちゃった♪

 父親:おいおい!オマエ何やってんだよ!
    何まんまと遊びに行っちゃってんだよ!
    
    そういう時は、意地でも おっかさんのそばに くっついてなきゃダメだろ!
   
    ていうか俺は何のために追加で5せん払ったんだよ!
    5せん返せよ!

 金坊:まぁまぁ落ち着いてよおっつぁん。
    
    大丈夫だよ。オイラはおっつぁんの味方だよ?
    
    
    いったんおもてへ行ったんだけどね、
    やっぱり気になってしょうがないから、
    こっそりウチに戻って来たんだよ。

 父親:エライ!それでこそ おっつぁんの子だ!

 金坊:そしたらね、出かける時はいてた障子しょうじが、
    戻って来たら ピターッと閉まってるんだよ。

 父親:障子しょうじが!?

 金坊:うん。
    
    オイラね、その閉めきられた障子しょうじの向こうで
    一体何が行われてるのか 気になって、
    足音たてないようにソーっと近づいていって、
    その障子しょうじをスーっと………………、
   
    
    おっつぁん、これけたい?

 父親:けてえよ。

 金坊:5せんになりまぁす♪

 父親:またかよ!また5せん取んのかよ!
    
    んなこと言わねえでスっとけろよ!

 金坊:申し訳ございませんお客様、5せんお支払いいただかないと、
    この障子しょうじひらきませんので。

 父親:オマエはどこの店員なんだよ。
   
    いい加減にしろよ。
    たかが障子しょうじひとつけるのに
    5せんも払ってられるか!

 金坊:あ、そう……。
    
    じゃ、この障子しょうじは、永遠に閉じたままにしておこう……。
   
    うん、そのほうがおっつぁんのためだと思う……。 
    この封印は、解くべきじゃないんだ……。
   
    この障子しょうじの向こうの光景を見てしまったら…………
    おっつぁんは…………もう……!

 父親:わかったよ!払うよ!
    払うから封印を解いてくれよ!
   
    (5銭を渡して)
    ほら5せん

 金坊:わぁ♪毎度ありがとうございまぁす♪

 父親:うるせえよ!
    いいから早くけろよ!

 金坊:で、オイラその障子しょうじをスーっとけて、中をのぞいてみたの。
   
    そしたら――
    
    お布団ふとんいてあるんだよ。

 父親:布団ふとん布団ぶとんか?

 金坊(首を横に振って)
    ううん。
    
    寝具しんぐ夜具やぐ
    
    寝る、おふとん。

 父親:昼間っから布団ふとん いて……!?
    
    それで!?

 金坊:でね、何するんだろうって見てたらね、
    おっかさんが、「それじゃあ……♥」とか言って、
   
    自分から、誘い込むように
    
    お布団ふとんの上に、横たわったんだよ…!

 父親:自分から!?誘いこむように!?
    
    そ、それから!?

 金坊:そしたら そのおじさんがね、上から、こう、おっかさんに、
   
    おおいかぶさるような格好になったんだよ…!

 父親:おおいかぶっ……!?
    
    そ……、それから!?

 金坊:それで…………。
    
    ここで5せん

 父親:おまっ……!いいとこで……! 
    
    (5銭を渡して)
    ほら!

 金坊:ありがと。
    
    それでね……、そのおじさん、こう………………、
   
    ああ、やだなぁ、こんなこと言わなきゃならないなんて……!

 父親:なんだよ、そいつ何しやがったんだよ!

 金坊:やだなぁ…………、でも……、うん、はなすよ……。 
   
    
    そのおじさん、おっかさんの体を、
    そこらじゅう……、こう……、触るんだよ……! 
   
    あっちをでさすって、こっちをんで……!

 父親:なんだとォ……!?

 金坊:そしたらおっかさん、
   
    「あン♥そこそこ♥」とか
   
    「んン~♥もっとォ♥」とか
    
    「気持ちいいよ♥
    おまえさん、とっても上手だよ♥」
とか
    
    「右だけじゃなくて、
    左のほうもんどくれよ♥」

    
    なんて言うんだよ。
   
    
    ……オイラ、いたたまれなかったなぁ……。

 父親:あんにゃろぉ……!

 金坊:そいでね、そのおじさんの顔よく見たらさ、
    オイラの知ってる人だったんだよ!

 父親:オマエの知ってる奴!?誰だ!

 金坊:誰って……、おっつぁんも知ってるよ。

 父親:俺も知ってる……?
    誰だ!え?言ってみろ!

 金坊:言う、言うよ。
    だから…………、
    
    10せん

 父親:じゅ……!た、高いよ!
    オマエそれは高いよ!

 金坊:高くないよぉ。
    ついに男の正体が分かるんだよ?ものすごい情報だよ?
    ここまでの くだらない話とはワケが違うんだよ。

 父親:そのくだらねえ話に もう20せん払ってんだよ!
    
    このうえ10せんも出せるワケねえだろ!

 金坊:あ、そう……。
    
    じゃ、この男の正体は、永遠にオイラの胸の内にしまっておこう……。
   
    うん……、そのほうがおっつぁんのためだと思う……。 
   
    オイラだって、血を見るのはイヤだしね……。
   
    こいつの正体をおっつぁんが知っちゃったら……もう……しゅ羅場らばッ……!

 父親:わかったわかった!わかったよ!
    10せんやるからちょっと待ってろ!
   
    (10銭を渡して)
    ほら、持ってけ!

 金坊:毎度ありがとうございまぁす♪

 父親:もういいよそれは!
    早く教えろ!

 金坊:あのね……
   
    横丁の按摩あんまさんが おっかさんのからだもみに来てたの♪
   
    じゃあねー♪(去る)

 父親:なッ…!!
    
    おい待てー!
   
    
    (ため息)
    やられちゃったよ…………。
    
    

 


 

 母親:ただいま。

 父親:あ!おっかぁ!
    どこ行ってたんだよ!

 母親:やだね この人は。
    
    今日は おタケさんと芝居見物しばいけんぶつに行くって 言ってあったでしょ?
   
    
    どうしたの?
    むずかしい顔して。

 父親:おめえが早く帰って来ねえから、
    ぜに られちゃったんだよ。

 母親:あらやだ!泥棒かい!?

 父親:違うよ。金坊きんぼうだよ。

 母親金坊きんぼう
    
    馬鹿だねお前さん。
    だから いつも言ってるでしょ?
    お金を そこらに置きっぱなしに してちゃ いけないって。
   
    どこから持ってったんだい?

 父親:俺の ふところだよ。

 母親:やだねぇ……。
    
    常々つねづね ボーっとした亭主ていしゅだとは思ってたけど、
    まさかウチの中で、しかも自分の子どもに お金スられるほど
    ボーっとしてるとは思わなかったねえ……。

 父親:そうじゃねえよ。
    
    ぜにはこう、俺の手から金坊きんぼうの手に渡ったんだよ。
    手渡しだよ。

 母親:じゃあお前さんが あげたんじゃないか。
    何がられたよ、人聞きの悪い。

 父親:いや、だから違うんだよ。
    やりたくてやったんじゃねえよ。
    だまし取られたんだよ。

 母親:どういうこと?

 父親:一杯喰わされたんだよ。
   
    ほら、こないだ俺が横浜 行った時によ、
    おめえ、按摩あんま 呼んだろ?

 母親:ああ、そうだったわねぇ。
    いつもの先生に 来てもらったの。

 父親:その話をよ、金坊きんぼうの野郎、やたらと思わせぶりにはなしやがってよ……。
   
    もうこっちが 気になるように気になるように 話を持っていくんだよ。

 母親:そうなの?

 父親:そうなんだよ。
    
    いやもう、どう聞いたって、おめえが亭主ていしゅ留守るす他所よその男ひっぱり込んで
    いかがわしい事やってるようにしか聞こえねえんだよ。
   
    またそれを 上手い具合に そこらじゅうで ぶった切ってよ、
    そのつど5せん払えの10せん払えの言ってきやがって…………。
   
    それで たんまり取られちゃったんだよ。

 母親:やだねぇ この人は。
    どうしてお前さん そんなのに引っかかるのさ。
    わかりそうなもんじゃないか、按摩あんまの先生だって。

 父親:それがそうじゃねえんだよ。
    
    あの野郎のはなしぶりがよォ、上手いんだ これが。
   
    「オシャレ気取りで真っ白な上着羽織はおって」
    なんて言いやがって。
    
    よく考えたら白衣のことなんだよ。
   
    「カッコつけて色付きの眼鏡なんか かけて」。
    
    あの人、別にカッコつけてるわけじゃねえんだ。
    ちょっと目が不自由だから、日頃から色付き眼鏡かけてるだけじゃねえか。
   
    「おまけにステッキまで持ってんの。気取ってるでしょ?」だってよ。
    
    ただの杖じゃねえか!
   
    
    こういうところがあの野郎うまいんだよ……。
    
    おかげでまんまと一杯喰わされちゃったよ。

 母親:うまいことやるもんだねえ。
   
    あの子はホントに知恵が働くからねえ。
    知恵じゃあ、あたしもお前さんも、
    もうあの子にかなわないかもしれないね。
   
    でもいいじゃないか。
    あれだけ知恵があるんだから、
    ゆくゆくは立派な人になるよ。

 父親:冗談言っちゃ いけねえよ。
    立派な人になんて ならねえよ。
   
    あいつの知恵ってのはな、あったところでわる知恵ぢえだ。
    悪い方には働いて、いい方には働かねえんだ。

 母親:そんなことはないだろ。
    
    良くたって悪くたって、知恵は あったほうがいいじゃないか。

 父親:いや そうじゃねえんだ。
    知恵の使いどころってのがあるんだよ。

 母親:知恵の使いどころ?

 父親:そう。
    
    おめえは 金坊きんぼうが ゆくゆくは立派な人になる なんて言うけどよ、
    立派な人ってのは、知恵の使いどころが違うんだよ。

 母親:そういうもんかい?

 父親:そういうもんだよ。
    
    ホラ、オレ講釈こうしゃくが好きで、
    よく講釈こうしゃくへ聴きに行ってるだろ?
    
    講釈こうしゃくにはえらい人の話がいっぱい出てくるんだ。
   
    そういう話を聴いてるとな、えらくなる人ってのは、
    小せえぶんから、知恵を使うところが違うんだ。
   
    ウチの金坊きんぼうみたいに 親をだますなんてことは しねえよ?
   
    こないだ聴いたやつだってそうだ。

 母親:何聴いてきたんだい?

 父親:『さな三代さんだい』。
   
    
    天正てんしょう何年なんねんかって時代にな、武田勝頼たけだかつより天目山てんもくざんところに 立てこもって、
    信州しんしゅう 上田うえださな安房あわのかみすけに 来てくれるように頼んだんだ。
   
    で、すけを頼まれた さな安房あわのかみ軍勢ぐんぜいひきいてけつける途中で、
    敵方てきがた大道だいどう駿する河守がのかみまつ尾張おわりのかみとの はさちにってしまった。
   
    さぁこれでは 行くことも退くことも かなわない。
    明日あすはいよいよ 主従しゅじゅう そろって にかと 覚悟をしているところへ、
    さな安房あわのかみせがれの「三郎さぶろう」って男が 進み出てきた。
   
    この三郎さぶろうが、ウチの金坊きんぼうと同じくらいのとしなんだよ。
   
    で、その三郎さぶろうが、父である安房守あわのかみの前に手をついて言った。
   
    「父上、これしきのこと、心配ごよう
     わたくしに、永楽通宝えいらくつうほう旗印はたじるしながれお許しくだされ」
   
    永楽通宝えいらくつうほう旗印はたじるしってのは、敵のまつ尾張おわりのかみ旗印はたじるしだ。
    そいつを6つ持たせてくれって言うんだな。
   
    安房守あわのかみは、そんな物どうするんだろうと思ったけど
    きっと何か考えがあるんだろうと思って 用意してやると、
    三郎さぶろうはそのばんその旗印はたじるしを持って、大道だいどうほう夜討ようちをかけた。
   
    「夜討ようちだ!」ってんで大道だいどうがひょっと見ると、
    松田方まつだがた永楽通宝えいらくつうほう旗印はたじるしがひらめいてる。
   
    「さては松田まつだが裏切ったな!」ってんで、
    松田まつだ大道だいどうどう士討しうちになった。
   
    そのすきに、真田軍さなだぐんがみんな逃げのびたって話だ。
   
    
    どうだい、知恵が働くだろォ?
   
    この人はな、のち大坂方おおさかがた軍師ぐんし
    「真田さなだ左衛さえもんのじょう幸村ゆきむら」、真田幸村さなだゆきむらになったって話だ。
    
    さな田家だけもんは、もともと「ふた雁金かりがね」だったんだけどな、
    この日 助かったことを いつまでも忘れねえように ということで、
    幸村ゆきむらの頃から、六連銭りくれんせんへと変わったって話だ。
   
    やっぱりえらくなる人ってのはちいせえぶんから違うんだよ。
   
    まぁそんな幸村ゆきむらも、最後、落城らくじょうの時には、
    敵のはかごとにかかって 薩摩さつまへ落ちたんだそうだ。
   
    
    どうだ?
    
    味方一同を助ける知恵と、
    親からぜにをふんだくる知恵と、
    大変な違いじゃねえか。

 母親:そうかしらねえ?
    
    ウチの子だって、大きくなりゃあ
    真田幸村さなだゆきむらみたいに なるんじゃないかい?

 父親:サナダムシにだって なりゃしねえよ。
    
    本当にわる知恵ぢえだけは ――
    (女房のむこうに何かが見える)
    ん……?
    (どうやら金坊の耳らしい)
    (女房に)
    オイ、ちょっと後ろ見てみな。
    そのぶくろのところ。
    
    妙なもんが ピョコンと見えてんだろ?
    
    あれはあいつの耳だよ。
    親の話、盗み聞きしてやがる。
   
    (金坊に)
    オイ金坊きんぼう!そこにいるのは分かってんだよ!
    こっち入って来い!

 金坊:エヘヘ……。
    
    ど~も♪
    先ほどは失礼♪

 父親:失礼すぎるんだよ。
    
    おめえなぁ、さっきのは良くねえぞ。
   
    あのぜには おっつぁんからもらったんじゃねえだろ?
    だましとったんだろ?
    
    さ、返せ。

 金坊:いやぁそれが もぉ…………使っちゃったんだよぉ。

 父親:使ったァ?
    
    何言ってんだ。
    そう言えば許すと思ってんのか?
    
    おめえみたいな子供があれだけのぜに
    いちどきに使えるわけねえじゃねえか。
    
    使ったって言うなら、何に使ったか言ってみろよ。

 金坊講釈こうしゃく 聴いちゃったんだよ

 父親:……。
    
    こういう奴だよ。
    
    親の好きなもんに合わせときゃあ 機嫌が良くなると思ってやがる。
   
    
    講釈こうしゃく聴いた?
    
    よぉし、おっつぁん、講釈こうしゃくには詳しいんだ。
    本当に聴いて来たかどうか、おっつぁんが確かめてやる。
    
    何 聴いてきたんだ?言ってみろ。

 金坊:『さな三代さんだい』♪

 父親:ほぉ……。言ったな?
    
    よぉし、本当に聴いて来たってんなら、
    どんな話だったか、今ここで言ってみろよ。

 金坊:うん。いいよ。
   
    あのね、天正てんしょうの、何年なんねんかって時代にね、武田勝頼たけだかつよりって人がね、
    天目山てんもくざんっていう お山に立てこもっちゃったの。
   
    で、信州しんしゅうの、上田うえだの、さな安房あわのかみって人にね、すけを頼んだの。
   
    で、そのさな安房あわのかみ軍勢ぐんぜいひきいて けつける途中でね、
    敵の、大道だいどう駿する河守がのかみと、まつ尾張おわりのかみにね、はさちにされちゃったの。
   
    で、行くことも退くことも かなわなくなっちゃって、
    いよいよ明日あす主従しゅじゅう そろってにか?ってことになっちゃったの。
   
    そしたら、そのときにね、さな安房あわのかみのせがれで、
    「三郎さぶろう」ってのが、進み出てきたの。
   
    この三郎さぶろうがね、おっつぁん、オイラと同じぐらいのとしなんだって。
    この子がと~っても利口なんだってさ。
   
    世の中にはよくあるんだよね、せがれがう~んと利口で、
    親がボーっとしてるってことが。

 父親:うるせえんだよ。
    余計なこと言わなくていいんだよ。

 金坊:で、その三郎さぶろうって人が、おっつぁんの前に手をついて、
   
    「父上、これしきのこと、心配 ごよう
     わたくしに、永楽通宝えいらくつうほう旗印はたじるしながれ お許しくだされ」
   
    って言ったの。
   
    永楽通宝えいらくつうほう旗印はたじるしっていうのは、敵の、
    まつ尾張おわりのかみ旗印はたじるしなんだよね。
    それを6つ持たせてくれって言ったの。
   
    安房守あわのかみは、そんな物どうするんだろうなって思ったけど
    何か考えがあるんだろう と思って 持たせてやるとね、
    三郎さぶろうは、そのばん その旗印はたじるしを持って、
    大道だいどうほう夜討ようちをかけたの。
    
    で、夜討ようちをかけられた大道だいどうがひょっと見ると、
    松田まつだ旗印はたじるしがひらめいてるもんだから、
    「さては松田まつだが裏切ったな!」ってんで、
    松田まつだ大道だいどうが、どう士討しうちになったの。
   
    で、そのすきに、真田軍さなだぐんがみんな、逃げのびることができたってお話。
   
    で、この子が大きくなって、大坂方おおさかがた軍師ぐんしのね、
    「真田さなだ左衛さえもんのじょう幸村ゆきむら」、真田幸村さなだゆきむらって人になったんだって。
    えらいもんだよねぇ。
   
    で、さな田家だけもんってのが、もともとは
    「ふたつかりがね」だったんだってね。
   
    それが、この日 助かったことを いつまでも忘れないように、
    幸村ゆきむらの頃から、「りくれんせん」ってのに、変わったんだってさ。
   
    でも、それだけえらい人でも、最後の落城らくじょうのときには、
    敵のはかごとにかかっちゃって、
    薩摩さつまへ落ちたんだってさぁ。
   
    
     ―― ここまでで、なにか違ってるところはございますかぁ?

 父親:(ムスッとして)
    ……あってるよ。
    
    そこで聞いててすっかり覚えちまいやがった。
   
    やなガキだよ。
    
    俺は講釈こうしゃくへ3カ月かよって ようやく覚えたってのによ。

 金坊:あの、おっつぁん、ちょっと うかがいたいんですけど。

 父親:なんだよ?

 金坊:あのさ、「ふたつかりがね」っていうのは、どういうの?

 父親:ふた雁金かりがねってのはアレだよ、がんが2 飛んでるやつだよ。

 金坊:なるほどぉ。
    
    じゃあ、「りくれんせん」ってのは、どういうの?

 父親:六連銭りくれんせんってのはな、「むつれんせん」とも言って、
    永楽通宝えいらくつうほう ―― 昔のぜにだよ、それが6つつながってるんだよ。

 金坊:ふぅん。ぜにが6つ……。
    
    どういうふうに つながってるの?

 父親:6つのぜにが、こう……3つ3つで つながってるんだよ。

 金坊:3つ3つで……?どういうこと?

 父親:だから……、こう、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃ、って つながってるんだよ。

 金坊:えっと、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃ?

 父親:いやそうじゃなくて、横に、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃだよ。

 金坊:え……?横に、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃ……?

 父親:いやそれじゃ縦だろ?
    そうじゃなくて、横に、ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃだよ。

 金坊:ん~、オイラよくわかんないよ……。

 父親:なんでわかんねえんだよ。
    
    ちょっと待ってろ。
   
    (実際に銭を持ってくる)
    
    ほら、いいか?これ、1せんぜにだ。
    これは今のぜにだけどな、これを昔の永楽通宝えいらくつうほうだと思え。な?
    これが、こう、6枚あんだろ?
   
    六連銭りくれんせんてのは、このぜにが、こう、
    ひぃふぅみぃ、ひぃふぅみぃって並んでるんだよ。
    わかったか?

 金坊:あーなるほど!こういうことかぁ!
    こうやって並べてみるとよくわかるね!
   
    ねえねえおっつぁん、オイラもそれ、並べてみていい?

 父親:おう、やってみろ。
    自分で目の前に並べてみりゃあ よく分かるだろ。

 金坊:うん。
    
    えーっと、こうやって、ひぃ、ふぅ、みぃ、ひぃ、ふぅ、みぃ……と。
    
    こうだね?おっつぁん!

 父親:ああ、そうだよ。

 金坊:ありがとおっつぁん♪
    
    じゃ、この6枚、もらって行くねー♪(銭を手に取り駆け出す)

 父親:あっ!コラ!
    
    オマエ、また講釈こうしゃく 聴きに行くってのか!

 金坊:ちがうよー♪ 焼きイモ買って食べるんだーい♪
    
    じゃあねー♪(去る)

 父親:焼きイモ……?
    
    (ため息)ハァ……
    
    ウチのさなも、薩摩さつまへ落ちた……。
    
    ※焼き芋といえばサツマイモ。
     「ウチの真田」とは、若き日の真田幸村ばりの知恵(悪知恵だけど)を持つ金坊のこと。
     「サツマイモを買いに行った」ことを「薩摩へ落ちた」と表現し、
     薩摩へ落ちのびたという真田幸村の逸話と掛けてオチとしたもの。

  



おわり

その他の台本                 


参考にした落語口演の演者さん(敬称略)


古今亭志ん朝(3代目)
柳亭小痴楽(3代目)
柳家小さん(5代目)
立川談志


何かありましたら下記まで。
kurobekio@yahoo.co.jp

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